都議会議員選挙が6月13日に告示され、選挙戦が始まりました。投開票は22日に行われます。
昨年行われた東京都知事選挙や兵庫県知事選挙などを機に、選挙運動に関して新たな課題が浮上しています。具体的には、ほぼ全裸の女性のポスターや風俗店の広告が都内各地の掲示板に貼り出され、警視庁が警告を出す事態となりました。また、「NHKから国民を守る党」などが擁立した候補者24人の掲示板の枠が事実上、販売される形となっていたことも問題視されています。
もう一つの課題として、いわゆる「2馬力」への対応が挙げられます。昨秋の兵庫県知事選挙では、当選の意思がないにもかかわらず、特定の候補者の選挙運動が他の候補者のために行われたのではないかとの指摘がありました。
<公職選挙法改正>
3月26日、与野党7党が共同で提出した公職選挙法改正案が、参議院本会議で可決されました。この改正法には、選挙ポスターに関して複数の規定が盛り込まれています。具体的には、他人や他の政党の名誉を傷つけるなど、品位を損なう内容の記載を禁止すること。また、営利目的で使用した場合、100万円以下の罰金を科すことなどが含まれています。
さらに、改正法の付則では、SNS上で選挙に関する偽情報などが拡散する状況への対応が明記されました。これと並行して、いわゆる「2馬力」と呼ばれる状況を念頭に、候補者間の公平性を確保するための施策のあり方を検討し、必要な措置を講じるとされています。SNSにおける選挙関連の偽情報に関しては、プラットフォーム事業者の責任を明確化する案などが議論されていますが、憲法が定める「表現の自由」との整合性が課題となっています。
<情報流通プラットフォーム対処法>
4月1日に新たに施行された「情報流通プラットフォーム対処法」では、プラットフォーム事業者に対して、以下の対応を義務付けています。
- 誹謗中傷など権利侵害に対する窓口の整備: 事業者は、誹謗中傷などによって権利が侵害された場合に、投稿の削除申し出を受け付ける窓口を設置する必要があります。
- 迅速な調査と判断、通知: 削除申し出があった場合、事業者は速やかに内容を調査し、7日以内に削除の可否を判断して、その結果を被害者に通知することが求められます。
この法律は、大規模特定電気通信役務提供者による削除対応の迅速化と、その運用状況の透明化を主な目的としています。具体的に指定されている大規模特定電気通信役務提供者には、YouTubeを運営するGoogle LLC、FacebookやInstagramを手掛けるMeta Platforms, Inc.、TikTok、そしてXなどが含まれています。
<ファクトチェックの取り組み>
SNS上での偽情報対策として、ファクトチェックの動きが活発化しています。
メディアによるファクトチェック
日本新聞協会に加盟する読売新聞社、佐賀新聞社、時事通信社、日本テレビ放送網の有志4社は、選挙に関してインターネット上で拡散されている情報を対象に、共同でファクトチェックを実施すると発表しました。この取り組みは、6月13日に告示された東京都議会議員選挙から開始され、今後、他のメディアにも広く参加が呼びかけられる予定です。
各党のAIを活用した取り組み
- 公明党: 6月6日より、AIエンジニアの安野貴博氏が率いる政治団体「チームみらい」が一般公開したソフトウェア「AIファクトチェッカー」の運用を開始しています。これは、党に関するSNS上の情報の真偽をAIが自動的に判別し、最終的には党のスタッフが偽情報であるか否かを判定するものです。
- 国民民主党: 今夏の参議院選挙に向けて、AIを活用した偽情報チェックソフトウェアを独自に準備しています。このシステムは、過去5年分の党の政策や所属議員の国会質疑などを学習したAIが、党に関するSNS上の情報を収集し、その真偽を確認した上で、党のホームページやSNSで指摘を行う方針です。
<2馬力選挙>
「2馬力選挙」とは、候補者自身が当選を目指すのではなく、特定の他の候補者の当選を目的として立候補する行為を指します。公職選挙法では、候補者一人あたりの選挙カーやビラの数などが厳しく制限されています。そのため、2馬力選挙が行われると、応援を受ける側の候補者が実質的に二人分の選挙活動量を得ることになり、選挙の公平性が著しく損なわれる事態となります。
こうした事態に対応するため、鳥取県選挙管理委員会は、いわゆる「2馬力選挙」対策に乗り出しています。具体的には、5月25日に行われた選挙から、立候補者に対し「立候補は自らの当選を目的とする」という宣誓書の提出を求めています。宣誓書を提出しない候補者に対しては、理由を確認した上で、県選挙管理委員会が公職選挙法に違反すると判断した場合、立候補の届け出を受理しない可能性もあるとのことです。
<東京都知事選挙におけるポスター掲示板問題>
2024年7月に行われた東京都知事選挙において、56人の候補者が出馬したにもかかわらずポスター掲示板の枠が48枠しか用意されなかったことに対し、選挙無効を求める訴訟が提起されていましたが、東京高等裁判所は「選挙の公平性を害したとはいえない」として、この請求を棄却しました。東京都選挙管理委員会は、枠内に掲載できなかった候補者からの申し出があった場合、枠外にクリアファイルでポスターを掲示する対応を取っていました。東京高裁の後藤健裁判長は、判決において「ポスターの見やすさに多少の差異が生じた可能性はあるが、見やすい場所に設置されなかったとまでは認められない」と指摘しました。
今回の参議院選挙に向けて、ポスター掲示板はすでに設置が進められているようですが、ポスター枠の増加傾向に拍車がかかっています。どのような掲示板を設置するかは、各区市町村の選挙管理委員会が判断しており、都選管が直接指示するものではありません。しかし、今年3月には都選管から各選挙管理委員会に対し、参議院選挙では72枠程度の準備が望ましいとの見解が伝えられたとのことです。
<選挙ポスターのデジタル化>
選挙運動では多大な人手を要しますが、選挙ポスターの掲示作業はその代表的な例です。候補者にとっては膨大な数のポスターを貼って回ることが大きな負担となっており、地域によってはポスターがほとんど掲示されず、掲示板がその機能を十分に果たせていないケースも見受けられます。実際に、日の出町では山間部が多く、ポスターを貼りに来る候補者が少ないため、今回の選挙では、昨年の衆議院議員選挙時の50か所から43か所に掲示板の設置箇所を減らしています。
選挙ポスターのデジタル化は、候補者の掲示作業の負担を軽減する有効な手段となる可能性があります。しかし、そのためには公職選挙法の改正が必要であり、実現には高いハードルが存在します。それでも、この動きは選挙運動の効率化と、候補者にとってより負担の少ない選挙活動の実現に向けた一歩となり得るでしょう。
<公平な選挙実現に向けた迅速な法整備の必要性>
近年、公職選挙法が想定していなかった事態が相次いで発生しており、これらの問題への迅速な対応が求められています。公平な選挙は民主主義の根幹をなすものであり、その健全性を維持するためにも、現行法の枠組みでは対応しきれない課題に対し、速やかに法整備を進めることが不可欠です。
それでは今回も多摩地域のニュースを見ていきます。
日野自動車と三菱ふそう 来年4月に経営統合で最終合意と発表
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは10日、2026年4月1日に経営統合することで最終合意したと発表しました。新たに設立する持ち株会社の傘下に両社が入り、それぞれの親会社のトヨタ自動車とドイツのダイムラートラックが持ち株会社の株式を25%ずつ保有する方針です。ただ、トヨタの議決権ベースでの保有割合は19.9%となるため、日野自動車はトヨタの子会社ではなくなります。
今回の経営統合にあわせて日野自動車は、東京 羽村市にある羽村工場を親会社のトヨタ自動車に1500億円で売却すると発表しました。羽村工場は2026年4月からトヨタの工場となり、およそ4500人の従業員の雇用は維持されるということです。
「三鷹行き終電」から乗り継げる! 高尾方面「タクシー相乗りマッチング」サービスをJR系が開始
「三鷹行き終電」から乗り継げる! 高尾方面「タクシー相乗りマッチング」サービスをJR系が開始 中央線の神サービス!?
「ミッドナイトシャトル三鷹」は、専用アプリを通じてタクシー乗車を申請し、中央・総武線各駅停車の終着駅である三鷹駅から同じ方向に向かう乗客とのシェア相手をマッチングするサービスです。マッチングが成立すればタクシー料金が半額に、成立しなかった場合でも1割引きとなります。
今回は実証実験ということで、2025年6月6日から9月27日までの期間中、金曜日と土曜日の深夜0時から1時30分までに限り利用可能です。
西武池袋線とJRが初の直通運転、2028年度めどに
西武池袋線とJRが初の直通運転、2028年度めどに…所沢駅と武蔵野線・新秋津駅の連絡線活用案
JR武蔵野線と西武池袋線が、2028年度をめどに直通運転を実施する方向で検討している。両線には接続駅がないため、JR新秋津駅(東京都東村山市)と西武・所沢駅(埼玉県所沢市)間にある連絡線を使って直通させる案が検討されている。
通勤の定期列車を走らせるというよりは、臨時列車で観光のお客様の新しい流動を作っていくとのこと。
多摩モノレール「実質37億円」負担で延伸――上下分離を超える“分担型整備”の現実性と波及効果とは
多摩モノレール「実質37億円」負担で延伸――上下分離を超える“分担型整備”の現実性と波及効果とは
従来の上下分離は自治体等がインフラを全て保有し、運行会社は運行サービスのみを担当する完全分離が基本だった。多摩都市モノレールでは、東京都が支柱・桁・駅舎といった構造物を担当する一方、運行会社が車両・電車線・変電所・券売機など運行設備を自ら保有・整備する責任を負う。
つまり、運行会社は単なる受託者ではなく、設備投資と維持管理を自己責任で行う運営者である。
止まらない農家の減少 東京では30年間で半分以下に減少
人手不足解消の手段の一つとして注目されているのが『とうきょう援農ボランティア』です。これは東京都の外郭団体が、農家を無償で手助けしてくれる人を集めるものです。新規登録者は年々増えていて、2023年度には2000人を超えました。
人手不足の対策として最新技術を駆使する農家もあります。日野市でトマトなどを栽培する梅村桂さん(34)は、機械による効率化で人手不足の解消に取り組んでいます。梅村さんは東京都や日野市の補助金制度を活用し、野菜に必要な水分や肥料を自動で調合するおよそ5000万円の農業用設備を8分の1の自己負担で導入しました。
6月後半以降のイベント・ピックアップ
桜桃忌
6月19日@禅林寺
太宰治の遺体が発見された6月19日は「桜桃忌」と名づけられ、墓所のある禅林寺にはいまも毎年多くの太宰ファンが参拝に訪れています。
東京競馬場花火2025
7月2日(水)19:30開演@東京競馬場
横田基地「独立記念日花火大会」
横田基地「独立記念日花火大会」
7月4日(金)20:30@横田基地
大國魂神社すもも祭
7月20日(日)@大國魂神社
立川まつり 国営昭和記念公園花火大会
7月26日(土)19:15-20:15@国営昭和記念公園
八王子花火大会
7月26日(土)19:00-20:15@富士森公園
TACHI FES
8月8日(金)-10(日)@GREEN SPRINGS
入場無料。 全席自由。
編集後記
関東甲信地方は10日に梅雨入りしましたが、しばらくは晴天が続く見込みです。今後は30度を超える真夏日が多くなり、厳しい暑さの中での選挙戦となりそうです。それでは!
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